国民年金の追納はすべきか?

お金

こんにちは!たかひろ(@pkpkstyle)です!

みなさんは学生時代に猶予を受けた国民年金の追納をしましたか?

年金なんて将来もらえないんだから追納なんてしない方がよくない?と思って追納していない人が多いと思います。

ただ、本当に将来もらえないのでしょうか?

今回はきちんと年金を受け取れる前提で追納をすべきかどうか考えてみました。

同じような悩みを抱えている人の参考になればと思います。

※もし間違っているところあれば教えてください。
※不確定要素や個人差を含む計算になりますので、参考程度にお楽しみください。

結論:追納したら元を取れるの?

とても長くなってしまったので、先に結論を述べます。

追納額を回収するには年金を何年間受け取らないといけないのか。

また、追納額を投資に回すことを考慮した場合、年金を何年間受け取らないといけないか。

結論は以下のようになりました。

  • 投資を考慮しない場合は、約8年で元が取れます。
    つまり、73歳より長生きする場合は、追納した方がお得になります。
  • 投資を考慮する場合は、約23年で元が取れます。(年利3%で計算)
    つまり、88歳より長生きする場合は、追納金で投資するよりも追納した方がお得になります。

ということで、どのような計算からこの結論が導き出されたのか説明していきます。

前提

国民年金の追納をすべきかどうかを考えるにあたって、全く同じ条件の人は存在しないと思います。

そのため、まずは今回計算するための前提条件について説明します。

未来のことはわからない

考えないこと
  • 年金制度が崩壊する可能性
  • 年金の支給開始年齢が遅くなる可能性
  • 年金の支給額が減る可能性
  • インフレの可能性

今回は上記のような可能性は一切考えていません。

考え出すとキリがないので、2021年度の保険料と支給額をベースに計算をしています。

猶予を受けた期間は人によって異なる

多くの人が社会人1年目の4月から保険料の納付を開始するのに対して、保険料の支払いが開始するのは20歳の誕生日の1日前の月からです。

そのため、猶予を受けた期間は誕生日月によって異なります。

今回は計算を簡単にするため、大学3,4年生の2年分(24カ月分)が猶予されていると仮定します。

大学2年生の途中で20歳になるため、多くの人は2年+αが猶予期間になると思います。

追納について

追納って何?

学生納付特例や年金保険料の免除または納付猶予を受けた期間から10年以内であれば保険料をさかのぼって収めることができる制度です。

学生時代に学生納付特例を申請している人は多いのではないでしょうか。

追納しないとどうなるの?

老齢基礎年金の支給額が変わります。(老齢厚生年金の支給額は変わりません。)

本題からそれてしまうため、老齢基礎年金と老齢厚生年金についての説明は省きます。

追納をしない場合、老齢基礎年金の支給額が減ってしまいます

追納額はいくら?

そもそも国民年金保険料はいくらなの?

毎年見直しがあり、年齢、性別、所得に関係なく保険料は一律です。

2021年度は16,610円/月です。

追納に追加料金は発生するの?

2年以内であれば加算額はありません。

しかし、3年以上前の保険料を追納する場合は、当時の保険料額に対して経過期間に応じた加算額が上乗せされます。

10年前の分でおよそ4%の加算額になります。

大学卒の場合の追納額はいくら?

直近2年分の保険料を追納する前提で計算します。

2019年度は16,410円/月、2020年度は16,540円/月のため、2年分の保険料の合計は395,400円です。

また、追納保険料は社会保険料控除の対象になるため、節税をすることができます。

20代の所得税率は10%が大半だと思いますので、所得税10%住民税10%で計算すると、控除で得られる節税効果は79,080円です。

395,400円分追納し、79,080円節税できるため、トータルの支払い額は316,320円となります。

注意点

追納額、節税効果は人によって異なります。

上記数字はあくまでも所得税率10%の人が2019年度、2020年度分を追納した場合です。

所得税率が異なる場合、2018年度以前分の追納をする場合は多少数字が異なりますのでご注意ください。

とはいえ、おおよそ似たような数字にはなるかと思います。

年金支給額はいくらになるの?

そもそも年金支給額はどうやって決まるの?

毎年見直しがあり、年齢、性別、所得に関係なく支給額は一律です。

2021年度は780,900円/年です。

ただし、この数字は20歳から60歳まで480カ月保険料を支払った場合です。

全額支払えていない場合は、780,900円 × (支払い月数/480) となります。

追納することで支払い月数を480カ月にすることができます。

追納しない場合いくらになるの?

2年分追納しない場合、支払い月数は 480 – 24 = 456カ月となります。

そのため2年分追納していない人の年金支給額は780,900円 × (456/480) = 741,755円となります。

満額の場合と比較すると年間39,045円少なくなります。

これは1カ月当たり3,254円少ないことになります。

追納したら元は取れるの?

追納分の元を取るには何年間年金を受け取れば元が取れるのでしょうか。

節税を考慮した追納額は316,320円です。

追納をすることで得られる年金は39,045円/年です。

316,320円 ÷ 39,045円/年 ≒ 8.1年

つまり、約8年で元が取れる計算になります。

追納のお金を投資に回した場合と比較するとどうなの?

追納分のお金を投資に回した場合と比較したとき、何年間年金を受け取れば元が取れるのでしょうか。

節税を考慮した追納額316,320円を全額投資に回し、年利3%で40年間運用したとすると

316,320×1.03^40 = 1,031,848円になります。

投資の利益に対して20.315%の税金がかかるため、税引き後は886,488円となります。

886,488円 ÷ 39,045円/年 ≒ 22.7年

つまり、約23年で元が取れる計算になります。

結局どうなの?

結論

  • 投資を考慮しない場合は、約8年で元が取れます。
    つまり、73歳より長生きする場合は、追納した方がお得になります。
  • 投資を考慮する場合は、約23年で元が取れます。(年利3%で計算)
    つまり、88歳より長生きする場合は、追納金で投資するよりも追納した方がお得になります。

個人的な考え

今回の計算は、年金制度が崩壊する可能性、支給開始年齢が遅くなる可能性、支給額が減る可能性等を考慮していません。

また、投資は年利3%と低めに見積もっています。

年利4%で置き換えた場合は、99歳より長生きしないと元が取れません。笑

このような不確定要素まで考慮すると、個人的には追納はせずに、そのお金を自分で運用した方がよいと考えています。

おまけ(大学院卒の場合)

僕は大学院卒のため、大学院卒の場合の計算もしてみました。

追納額はいくら?

直近4年分の保険料の合計金額は789,960円です。

節税効果は147,992円です。(所得税10%、住民税10%で計算)

節税を考慮した追納額は641,968円です。

年金支給額はいくら変わる?

4年分追納しない場合、支払い月数は 480 – 48 = 432カ月となります。

そのため4年分追納していない人の年間支給額は780,900円 × (432/480) = 702,810円となります。

満額の場合と比較すると年間78,090円少なくなります。

これは1カ月当たり6,506円少ないことになります。

元は取れるの?

節税を考慮した追納額は641,968円です。

追納をすることで得られる年金は78,090円/年です。

641,968円 ÷ 78,090円/年 ≒ 8.2年

つまり、約8年で元が取れる計算になります。

追納するお金を投資に回したらどうなる?

節税を考慮した追納額 641,968 円を全額投資に回し、年利3%で40年間運用したとすると

641,968×1.03^40 = 2,094,124円になります。

投資の利益に対して20.315%の税金がかかるため、税引き後は1,799,118円となります。

1,799,118円 ÷ 78,090円/年 ≒ 23.0年

つまり、約23年で元が取れる計算になります。

結論

  • 投資を考慮しない場合は、約8年で元が取れます。
    つまり、73歳より長生きする場合は、追納した方がお得になります。
  • 投資を考慮する場合は、約23年で元が取れます。(年利3%で計算)
    つまり、88歳より長生きする場合は、追納金で投資するよりも追納した方がお得になります。

2年分の結果と同じになりました。

よくよく考えたら割合の問題なので当然の結果ですね。笑

追納額がいくらだとしても元が取れるまでの期間は近い数字になるかと思います。

まとめ

年金の追納をすべきか、きちんと計算して考えてみました。

この計算を通して、年金の仕組みに対する理解がだいぶ深まったかなと思います。

そして、もし自分に子供がいたとしたら、社会人になるまでの保険料くらい払ってあげたいなと思いました。笑

一人ひとり条件が異なるところがあります。

よかったらこちらを参考にしてご自身で計算してみてください。

長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。